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併買(売)って何?

1. 併売分析の第一歩:『in』と『out』のシンプルな選択

データサイエンスと聞くと身構えてしまうかもしれませんが、併売分析の正体は驚くほどシンプルです。それは、お客様の買い物カゴの中身を「究極の2択」で捉えることから始まります。

例えば、目の前に「カップヌードル」があるとしましょう。お店に来たお客様がこの商品に対して下す決断は、世界中どこへ行っても次の2つしかありません。

  • in(買う): その商品をカゴに入れる
  • out(買わない): その商品をカゴに入れない

「買うか、買わないか」。この0か1かのデジタルな選択こそが、すべての複雑なデータ分析の出発点なのです。まずは、1つの商品につき2通りの道があることをしっかりイメージしてください。

1つの商品では2通りしかない選択が、商品数が増えることでどのように変化するのかを見ていきましょう。

2. 数学的爆発:5つの商品が生み出す32通りの宇宙

商品が1つ増えるたびに、買い物カゴの中の「可能性」は2倍、2倍……と膨れ上がっていきます。これを数学では「指数関数的な増加」と呼びます。

具体的に、以下の5つのカップ麺を例に考えてみましょう。

  1. カップヌードル
  2. シーフードヌードル
  3. カレー
  4. ミニ
  5. UFO

この5品に対して、それぞれ「in/out」の選択肢を掛け合わせると、計算式は 2の5乗=32パターン となります。この32パターンは、お客様が辿りうる「論理的なすべてのルート」を網羅した、いわば小さな宇宙です。

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その構造を視覚化すると、以下のようになります。

  • 全購入ルート: [in, in, in, in, in] (5品すべてをカゴに入れる情熱的なファン)
  • 単独購入ルート: [in, out, out, out, out] (カップヌードルだけを目的とした潔い顧客)
  • 特定コンビルート: [in, out, in, out, out] (カップヌードルとカレーの2つだけを選ぶ組み合わせ)
  • ……他、全32通りの組み合わせが存在。

ここでデータサイエンス的な視点を一つお教えしましょう。もし「カップヌードルをカゴに入れた(in)」と固定した場合、残りの4品で生じる組み合わせは 2(5−1)=16 パターンになります。AIはこのように「ある条件が決まった時に、残りのパターンがどう動くか」を計算することで、膨大なデータから法則性を見つけ出しているのです。

たった5品で32通りですが、これがスーパーの棚全体の規模になると、想像を絶する数字へと膨れ上がります。

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3. スケールの衝撃:棚割り50品が作る「1,000兆」のパターン

実際の店舗運営では、棚には50品以上の商品が並ぶのが当たり前です。この現実的なスケールで計算すると、もはや人間の直感では太刀打ちできない領域に突入します。

条件設定 計算式 出現するパターン数
5品(買う・買わない) 2の5乗 32
5品(4つの購買状態*) 4の5乗 1,024
50品(通常の棚割り) 2の50乗 約1,000兆

*4つの状態:トライアル、未購入、リピート、ロイヤル

棚割り50品が作り出す**「1,000兆」**という数字。これは、1,000兆秒を年数に換算すると約3,100万年以上かかるほどの天文学的なボリュームです。私たちが普段何気なく眺めているスーパーの棚一つには、実はこれほどの膨大な組み合わせの可能性が眠っているのです。

この「1,000兆の迷宮」を一つひとつ手作業で分析するのは不可能です。では、この膨大なパターンの中で、実際に価値のある組み合わせはどこにあるのでしょうか?現実のデータからその真実を探ります。

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