1.公益社団法人 日本オペレーションズ・リサーチ学会:
・機関紙_機関誌66巻1号:ID-POS分析とAI,仮説検証にAIをどう適用し,実践に活用するか(鈴木聖一)
ID-POS分析とAI,仮説検証にAIをどう適用し,実践に活用するか
株式会社 IDプラスアイ 鈴木聖一
要約:
従来,ID-POS分析では統計学的な手法が活用されてきたが,ここにAIを適用した場合,どのような分析が可能で,実戦にどのように活用できるかを提起する.本稿では,まず,POS分析からID-POS分析に至る変遷を概観し,その違いを解説,さらに,ID-POS分析とAIとの親和性についても触れる.そして,ID-POS分析を実践する際,特に,PDCAにAIを適用した実践事例を取り上げ,最後に,展望を示す.ここで取り上げた事例を含め,ID-POS分析にAIを適用する事例はまだ少ないといえる.今後,本稿のような実践事例が増え,研究開発が進み,AIがID-POS分析に新たな視点を加えるとともに,その進化につながってゆくことを期待する.
キーワード:POS分析,ID-POS分析,PDCA,AI

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2.ベイジアンネットワーク:本村 陽一
産業技術総合研究所_デジタルヒューマン研究センター
あらまし
ベイジアンネットワーク (以下ベイジアンネットと略す) は不確実性のもとでの予測や意思決定に用いられる確率モデルの一つである.このベイジアンネットを実際に用いるためには大量のデータからの統計的学習が重要になる.問題領域を表すベイジアンネットを構築した後,確率的な推論や予測を行うことができる.本稿では,ベイジアンネットに関するモデル,確率推論,統計的学習などの研究の流れを概説し,知的情報システムへの応用や応用システムの事例についても紹介する.
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3.因果推論の科学:ジューディア・パール(文藝春秋社_刊)
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4.ベイジアンネットワーク、PLSA、深層学習によるID-POSデータ分析事例|NTTデータ数理システム
POS から ID-POS へと進化する中で、その分析手法を研究し続けてきたIDプラスアイの鈴木聖一様は、従来の統計的なID-POS分析の手法は AI に置き換えられること、それに あたってベイジアンネットワーク構築支援システム「BayoLinkS」が最適であるという研究成果を発表した。しかも、これまで不可能だった分析も可能になるという。その詳細について鈴木様に話を伺った。
ベイジアンネットワーク、PLSA、深層学習によるID-POSデータ分析事例|NTTデータ数理システム
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5.書籍:BayoLinkSで実践するベイジアンネットワーク (オーム社)
・第5章_ベイジアンネットワークでID-POSデータから顧客行動を分析するを執筆しています。
ベイジアンネットワークの知識と実践がわかる
ベイジアンネットワークは変数間の依存関係を確率によって表示した確率的グラフィカルモデルで、原因と結果の関係性を確率的に、またグラフィカルに示すことができるため、近年注目されています。本書ではベイジアンネットワークの基本的な知識と、実際に実務の現場でどのようにベイジアンネットワークが使われているかの実践例を説明します。BayoLinkSというソフトウェア(体験版)を用いた実際の分析方法も紹介しています。
BayoLinkSで実践するベイジアンネットワーク
第5章_ID-POS データからベイジアンネットワークで顧客行動を分析する
株式会社 IDプラスアイ 鈴木聖一
ID-POSデータにベイジアンネットワークを適用し,顧客行動を分析する上において,POSデータとID-POSデータとの違いを理解しておくことは重要です.ここでは,その決定的な違いを図1に示しました.また,図1では,ベイジアンネットワークをID-POS分析に適用する際のポイントも合わせて図解しました.
まずは,POSデータとID-POSデータの決定的な違いですが,それは図1の右側,ID-POSデータの赤枠にあります.左側のPOSデータには,この赤枠の顧客IDとそれに付随する顧客名がありません.この顧客IDがあるか,ないか,これがPOSデータとID-POSデータを区別する決定的な違いです.
では,この顧客IDがPOSデータに加わったことでID-POSデータから何が新たに読み取れるのかを見てみます.図1の右側,ID-POSデータをよく見ていただくと,POSデータにはない2つの新たな視点を見出すことができます.ひとつは顧客IDごとの購入頻度です.そして,もうひとつは顧客IDごとの併売です.この2点が新たにPOSデータに加わっています.
1点目の顧客IDごとの購入頻度ですが,左側のPOSデータでは,全体の購入頻度が10回であり,その内,購入商品Xは5回,Yは6回であることまではわかりますが,これはトータルでの購入頻度であり,その詳細な中身までは顧客IDがないために把握できません.これに対して,右側のID-POSデータでは,顧客IDが加わったことにより,全体では10回の購入頻度ですが,その中身は鈴木さんが4回,佐藤さんが3回,岡田さんが1回,船井さんが1回,そして,小川さんが1回と5人の顧客のそれぞれの購入頻度まで把握できます.しかも,全体だけでなく,商品X,商品Y,それぞれの顧客ごとの購入頻度も把握できます.この購入頻度,誰が何回来店し,どの商品を何回購入したか,ここまで詳細な購入頻度がわかることが,今回のテーマであるベイジアンネットワークをID-POS分析に適用する上において,重要な視点となります.
そして,2点目ですが,顧客IDの併売です.左側のPOSデータでも同時併売については,4月8日に商品Xと商品Yが1回目の来店で購入されていることから把握することはできます.ところが,商品Xは,その後,併売されているのか,商品Yは,その後,併売されているのかについては,左側のPOSデータではわかりません.一方,右側のID-POSデータを見ると,左図同様,1回目の4月8日の鈴木さんの来店で商品Xと商品Yを同時併売しているだけではなく,鈴木さんは4月9日,4月10日,4月11日にも来店し,商品Xを1回目の同時併売を含め2回,商品Yを同様に3回購入していることがわかります.すなわち,同時併売だけでなく,日にちをまたいでの併売も把握することができています.この併売は顧客併売,あるいは,期間併売といえますが,POSデータでは把握できない詳細な顧客の併売状況であり,顧客の来店ごと,商品ごとに併売を把握することが可能となります.これはベイジアンネットワークを適用する上で顧客の購入頻度同様,重要な視点といえます.
このように図1をつぶさに眺めると,この2点,顧客の購入頻度と顧客の併売の違いが鮮明に浮かび上がり,しかも,この2点はいずれもID-POS分析にベイジアンネットワークを適用する上において,極めて重要な視点となります.

-Topics:購入頻度の補足-
ID-POS分析特有の指標,購入頻度について補足しておきます.図2は食品スーパーマーケットの生鮮食品の中でも最重点商品のひとつバナナの購入顧客の年間の購入頻度を分析したものです.この事例のバナナの購入顧客は17,182人,約2万人に近い購入顧客を分析対象としています.ここでは購入頻度を把握しやすくするために,大きく4つに分けて集計しました.まず,赤色のZ顧客は年間1回の購入頻度の顧客とし,それ以外を青色のリピート顧客としました.そして,そのリピート顧客を高頻度のS顧客と低頻度のB顧客,中頻度のA顧客とし,3分割しました.こうすることによって,バナナの約2万人の購入顧客の購入頻度を直観的に把握することが可能となります.
その結果をグラフ化したものが下の図となります.これを見ると,Z顧客が約50%であることがわかります.すなわち,バナナの年間購入顧客の内,約半分は年間1回しか購入しない顧客です.残りの約50%がバナナのリピート顧客となりますが,その内,低頻度のB顧客が約20%となり,しかも,その購入頻度は1.8回となります.したがって,バナナの年間購入顧客の約70%が年間2回以下の購入頻度となります.一方,バナナの高頻度のS顧客はわずか約5%であり,残りが中頻度のA顧客約25%となります.そして,これら約2万人のバナナの全購入顧客を購入頻度別に1人1人グラフ化したものが上図であり,Z顧客を赤色で示しています.結果,購入顧客と購入頻度は,Z顧客が長いしっぽのように,いわゆるロングテール構造となっていることがわかります.
ここではバナナに絞って,約2万人の年間の購入顧客をID-POS分析特有の指標,購入頻度の視点で分析し,グラフ化してみましたが,これまで様々な食品スーパーマーケットの商品で同様な分析を試みたところ,ほぼ同じ構造となることが確かめられています.ID-POS分析における購入顧客と購入頻度は不可分の指標ですが,多少の比率の違いはありますが,ほぼ,このようなロングテール構造になっているようです.

続く、・・
